免疫からオリゴノール、ETASまで
2026年9月、札幌で開催された「統合医療機能性食品国際学会 第34回年会(ICNIM2026)」に参加してきました。
ICNIMでは、国内外の研究者によって、機能性食品や食品素材についてさまざまな研究成果が発表されています。
今回参加して特に印象に残ったのが、人を対象とした研究や臨床に近い内容の報告が例年より多く感じられたことです。
食品素材の研究というと、細胞や動物を使って「どのような仕組みが考えられるのか」を調べる研究も大切ですが、近年ではさらに一歩進んで、人を対象としてさまざまな指標を測定する研究も行われています。
今回は、その中から印象に残った研究テーマをいくつかご紹介します。
「免疫は強ければよい」だけではない
今回の基調講演は、大阪大学のJames Badger Wing先生による、
「制御性T細胞の機能的多様性:COVID-19におけるB細胞応答の特異的制御」
というテーマでした。
「制御性T細胞(Treg)」という言葉は、一般にはあまり馴染みがないかもしれません。
私たちの免疫は、外から入ってくる異物などに対応する一方で、必要以上に反応しないよう調節する仕組みも持っています。
制御性T細胞は、こうした免疫のバランスを考えるうえで重要な細胞の一つです。
2025年には、制御性T細胞など「末梢性免疫寛容」に関する研究で、日本人研究者がノーベル生理学・医学賞を受賞されています。
そのため今回の講演は、ちょうど世界的にも関心が高まっている研究分野を学ぶ貴重な機会となりました。
「免疫」という言葉からは、つい「高める」「強くする」といったイメージを持ちがちですが、実際の免疫は非常に複雑です。
働くことと、適切に調節されること。
その両方が大切なのだな、と改めて感じる講演でした。
オリゴノールでは「体の状態」をさまざまな角度から研究
ICNIM2026では、ライチ由来の低分子化ポリフェノールであるオリゴノール®(Oligonol®)についても、複数の研究発表がありました。
今回の発表で興味深かったのは、一つの方向だけではなく、人・動物・細胞という異なる段階から研究されていたことです。
人を対象とした症例報告では、オリゴノールを摂取した方について、体重だけではなく、内臓脂肪や体組成、血液中の指標などを継続して観察していました。
単純に「体重が増えた・減った」という見方ではなく、体の中でどのような変化が起きているのかを複数の指標から評価しようとする研究です。
また、動物を使った研究では、体重や筋肉の状態、炎症に関係する指標、さらに細胞内でエネルギー産生に関わるミトコンドリアなどについて調べられていました。
細胞を使った研究でも、ストレスを受けた環境で、細胞内のミトコンドリアなどがどのような状態になるのかが観察されています。
もちろん、症例報告や動物・細胞を使った研究結果を、そのまま人に当てはめることはできません。
それでも、一つの食品素材について「なぜそのような変化が起こる可能性があるのか」を基礎から少しずつ調べていくことも研究の大切な役割なのだと思います。
ETASでは「認知」「睡眠」などを調べる人での研究も
アスパラガス茎抽出物ETAS®(イータス)についても、いくつかの発表がありました。
中でも興味深かったのが、60~80歳の参加者45名を対象に行われた研究です。
参加者を複数のグループに分け、ETAS®(イータス)またはプラセボを12週間摂取してもらい、認知機能や睡眠の状態、さらに血液中のさまざまな指標を調べていました。
研究では、摂取前と12週間後を比較し、いくつかの評価項目について変化や傾向が報告されています。
ただし、このような研究では「一つの数値が変わったから、食品に○○という効果がある」と単純に結論づけることはできません。
対象となった方の条件、人数、摂取量、期間、どの評価項目に差があったのかなどを総合して考える必要があります。
それでも、食品素材についてアンケートだけではなく、認知機能や睡眠、血液中の指標まで含めて検討していることは興味深いところです。
細胞を守る仕組みや、脳の免疫細胞を調べる基礎研究も
ETAS®(イータス)については、人を対象とした研究だけではありません。
別の発表では、HSP70(ヒートショックプロテイン70)という、細胞がストレスを受けた際に関わるタンパク質に注目した研究が報告されました。
細胞や動物を使い、ETAS50とHSP70との関係を調べることで、細胞がストレスを受けたときにどのような仕組みが関わっているのかが検討されています。
さらに別の研究では、脳や中枢神経系の免疫に関係する「ミクログリア」という細胞に着目し、アスパラガス茎抽出物との関係を細胞や動物を使って調べていました。
どちらも、すぐに日常生活での作用を示す研究というより、「体の中でどのような仕組みが関係しているのか」を探る基礎研究です。
こうした研究が積み重なることで、食品素材について少しずつ科学的な理解が深まっていきます。
「何に効くか」だけではなく、「何が分かっているか」を見る
今回ICNIM2026に参加して改めて感じたのは、食品素材の研究は、
「○○に良い」
という一言だけで語れるほど単純ではない、ということです。
人を対象とした研究もあれば、動物を使う研究、細胞を使う研究もあります。
そして、それぞれの研究で分かることには範囲があります。
一つの研究結果だけを見るのではなく、どのような人やモデルを対象に、何を調べ、どのような結果が得られたのかを積み重ねて見ていくことが大切です。
健康食品やサプリメントは医薬品ではありません。
私たちも「この素材なら○○に効く」といった単純な情報ではなく、学会や論文でどのような研究が行われているのかを確認しながら、皆様にもできるだけ分かりやすくご紹介していきたいと思います。
【ハービックス】店長の岩屋でした。
